「第一回 四国地カクテルバトルロイヤル奮戦記 2010年」
文責 H本のS藤
午前9時、香川から阿波池田へと阿讃山脈を抜ける猪ノ鼻峠には前夜の雪が残っていた。
四国4県から参戦のバーテンダーさんや各県の委員である酒蔵当主の皆さん、足は大丈夫だろうか?と心配しながら、設営の先発隊として場所をお貸し頂ける『四国酒まつり』の池田町商工会館に到着。
開場30分前から並んでいる人混みをかき分けて機材を搬入する。
10時半には設営もおわり、高知、愛媛と関係者が次々に到着。
11時からの開始に向けて順調にミキシングやシェイクが続く・・・と思いきや、高知代表が、いきなりバタバタと材料の「小夏」を刻み始めた。
なにやらあわただしそうやがあと30分しかないで。
今頃、そんなことしとって予定の200杯作れるん?
汗を拭き拭きショウガをおろす手伝いをしている高知委員のT牡丹酒造の竹村社長「高知はフレッシュさで勝負じゃき。下拵えから現場でするぜよ。見よ!この情熱。」と雄叫びをあげる。熱意は認めるが、そんならそれで、あと1時間早く来るという計算がでけんのかい土佐人は。
と、今度は、まだ着いていない地元の徳島代表が行方不明であることが判明。
1時間前には材料を徳島県職員の方がわざわざ持参されている。
4国4県のみならず関西からもお越しになったテレビ局さんや新聞社さんのカメラの砲列もスタンバイ。
お客さんも既に並んでいる・・・のに一番大事な地元チームのコーナーが空っぽで連絡がつかない。
「どないなっとんじゃい徳島」と地元池田のI小町の中村社長の携帯に電話しようとしたときに、これまた11時開始なのに10時58分に到着するというたいへん几帳面な香川代表とともにこともなげに登場。当たり前のように準備を始める。
小学生は学校に近い奴ほどギリギリに来る。徳島県や香川県では大人になってもそうである上、開き直るので、なおタチが悪い。(笑)
現場風景(撮影 助役Mの携帯カメラ)
現場風景(撮影 助役Mの携帯カメラ) |
一斉取材も無事終わり、バトルロイヤルのスタート。
老若男女、各地からの酒まつり参加者が列をつくって次々に粛々と味を利く。
流石、酒好きの集まるイベントだと感心していたのは最初の30分だけ。
次の30分は審査参加者の列の中に「かなり赤い顔」がちらほらと混じるようになり最後の30分は千鳥足がめだつようになる。
メインイベントの『酒まつり』の方ですっかり出来上がってしまっているらしい。(^ ^;)
1時間半で予定通りに終了。香川のK鶴酒造の川人社長が時間を気にしながら200枚弱のアンケートを集計。
この人は、2時間後から開始の岡山の西大寺裸祭りに参加する予定。
一日にバトルロイヤル二連チャンとは人生でもそうあるまい。ただし好きでやっとんのではないらしいが。
回収されたアンケートの約2割が無効票。
およそ「ルーン文字」みたいでさっぱり判読できん票やら、投げやりに全作品に一位を入れている(しかも平仮名)票やら、「優勝 俺」というのもあったぞ。
つまりは酔っぱらいがあまりにも多かったということです。
当然地元が強いと思い、在住地記入のアンケートを使い、地域偏差を入れられるようにパソコンまで用意していたのだが、あにはからんや、「徳島県人は地元の代表には投票しない」という珍傾向が判明。
徳島県は皆さん奥ゆかしいのか?
それとも秘かに地元を良く思っていないのか?
高知県人なんかは全員1位も2位も完璧に高知やで。丁寧に他の県のには「×」までいれとる奴までおるし。(笑)
30分ほどで集計がまとまり、委員全員で結果数字確認の上、栄えある四国チャンピオンは愛媛県代表のイチゴカクテル『紅媛(べにひめ)』に決定。
薄氷の差で2位に高知のショウガのカクテル『乙女ねえやん』をかわした。
すかさず高知県委員から「なんかの間違いや。集計し直せ」とクレームがつくが、その手にいかにも自分で今書いたばかりの投票用紙2,3枚が握られているのを発見し、却下。
エントリーは8点。
レシピはこちら
優勝した愛媛県代表カクテル『紅媛』(中央の赤) 左側は『坂の上の恋』
優勝した愛媛県代表カクテル『紅媛』(中央の赤) 左側は『坂の上の恋』 |
高知県 『風の龍馬』(中央背の高いグラス)と、惜しくも準優勝の『乙女ねえやん』(右端)
高知県 『風の龍馬』(中央背の高いグラス)と、惜しくも準優勝の『乙女ねえやん』(右端) |
香川県 『タメイケバカーリ』(左側)と『キクチカンタービレ』(中央)
香川県 『タメイケバカーリ』(左側)と『キクチカンタービレ』(中央) |
徳島県 『黄金の井戸』(左側)と『彩(いろどり))』徳島県らしくあざとく「器で勝負」したが
徳島県 『黄金の井戸』(左側)と『彩(いろどり))』徳島県らしくあざとく「器で勝負」したが |
会場中央で早速、表彰式。愛媛県代表のバーテンダー上田さんに賞状とカップのかわりの清酒の3斗瓶を贈呈。
愛媛の委員のY雀酒造の猪野社長は鼻高々。
自分ではなんにもしてないのに鼻高々。
『紅媛』の勝因は
・見かけがイチゴ色でおんなこども受け(いえいえ子供には飲ませていません)。確かに参加者の半数は女性だった。
・一杯にイチゴ3個を潰していれるという原価無視のゴージャスさ。今回の出品はすべて無料で飲んで頂いたが、値段をつけていたら結果は違っていたかも。
・バーテンダーの上田さんが男まえ。
等々、確かに女性票を老いも若きも確実に集めていました。
でも、結局は「酔っぱらい」の審査なので「いばるんじゃないぞ愛媛県。」
とは言うものの、最初のお約束通り、この一年間、我々関係者一同は世界中のどこにいようと愛媛県の方角には足を向けて寝ないことを誓います。おわり。
後日談
その夜、会場を提供して頂いた『池田町商工会議所青年部 四国酒まつり実行委員会』のメンバーさん達の打ち上げ反省会(の後、飲み会)に参加。
一緒に参加した四国JR高松駅のM助役は実はこのへんの出身。
あにはからんやメンバーさん達の中にも30年ぶりの同級生を数名発見、さらに何割かは身内の知り合い。
M助役、女性に囲まれてハーレム状態。
中締めのあと「飼い主が見つかったようなので置いて帰りますわ。どうか可愛がってやってください。」と先に失礼しようとしたら、「こんなもん置いていかれても邪魔になるから持って帰ってくれ。」と返品される。
さすが池田の人は役目を終えたあとの人間に対する切り替えが早い。(笑)
おまけ
女性キャスターのツッコミに、何にも悪いことはしてないのに思わず謝りそうにそうになっている愛媛代表
女性キャスターのツッコミに、何にも悪いことはしてないのに思わず謝りそうにそうになっている愛媛代表 |
まだまだ開票前なのに、それとなく表彰状を自県ブースに飾っていた高知代表
まだまだ開票前なのに、それとなく表彰状を自県ブースに飾っていた高知代表 |
報道関係の撮影会なのにあくまでも自社ブランドを目立たそうとする高知県委員の酒蔵社長
報道関係の撮影会なのにあくまでも自社ブランドを目立たそうとする高知県委員の酒蔵社長 |